お盆
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292 ななしの審神者
なぁ、どう思う?
293 ななしの審神者
あー・・・いや、280の刀剣達がそういうってことは、そうなんじゃね?
294 ななしの審神者
そうそう。あえて知らせる必要もないことってのもあるしよ。
295 ななしの審神者
ちょっといいかい?
296 ななしの審神者
280のごこちゃんが極めてなければワンチャンあるはず・・・
297 ななしの審神者
ワンチャンとか・・・お供の狐も有りでしょ?
298 ななしの審神者
お、新しい語り手か。
299 ななしの審神者
いいよいいよ。丁度話も途切れたところだし。
300 ななしの審神者
おいでませ~。とりあえずコテはよろしく。
301 ななしの雅な刀剣
ありがとう、では語らせて貰うよ。
まぁ怖い話というよりは少々不思議な話、といった程度かもしれないが。
302 ななしの審神者
やだ、雅?!
303 ななしの審神者
刀剣かー珍しいな。
304 ななしの審神者
雅さんいつもお世話になっておりまっす!
305 ななしの審神者
37人目だけはご勘弁を!!
306 ななしの雅な刀剣
>305 君はどれだけ僕に迷惑をかけているんだい?あまり度が過ぎると本当に37人目になるかもしれないからね、気を付けると良いよ。
これは丁度今日、僕が主と和菓子屋に菓子を買いに行ったときの話だ。
僕の主は実に雅を解する主でね、月に何回か、茶席を開いて共にすることもある。
無論そこまで形式ばったものでなくとも、折に触れてお茶を飲むことはあるよ。
君達も偶には庭を眺めたり、風、花、あるいは雨なんかにでも僕の主のように風情を感じてみるといい。
その日はその茶席の為に上等な菓子と茶を用意するべく万屋街に茶菓子を求めに行ったんだ。
307 ななしの審神者
ひえっ・・・気を付けます・・・・
308 ななしの審神者
同じ歌仙からの忠告だ、305はマジで肝に銘じた方がいい。
309 ななしの審神者
へー雅の主は茶席とか開くタイプなんだ・・・。
310 ななしの審神者
珍しい?かな?あんまりそういうのやらないよね。
いや鶯丸とか歌仙がやりたがってるのはわかってるけど茶室を準備するのはちょっと・・・予算が・・・。
311 ななしの審神者
まぁそもそも茶会のルールすら知らんしな。
312 ななしの雅な刀剣
>310、311
嘆かわしい、と言いたいところだけど別に作法に特別こだわる必要はないよ。
無論心得ることは大事だけれど、要は気持ちだからね。
僕達だってそこまで立派なものがあるわけじゃないけれど、要するに主と一緒にそういう時間を過ごせることがそもそも嬉しいんだよ。
その上で、自分が美しいと思ったものを主にも同じように感じてもらえているのだとしたら、これほど満たされることはないよね。
313 ななしの審神者
ちょっと歌仙に一緒にお茶のもうって誘ってくる。
314 ななしの審神者
俺も初期刀にちょっと話してくる。
315 ななしの審神者
あーそっかー・・あいつ雅雅うるせぇなって思ってたけど、そういうことかー。
316 ななしの審神者
わかるかそんなもん!って思ってたけど、そう言われるとなんかちょっとわかる?かも?
317 ななしの雅な刀剣
それで茶会の為に茶菓子を求めにいったのだけれど、ちなみにその時の主の恰好は白百合の着物に菜の花色の帯姿でね。いつもは僕達に選ばせてくれるのだけれど、その日は珍しく主自らが選んだ着物で和菓子屋に立ち寄ったわけさ。
そこで和菓子を購入し、次は茶葉を買いに行こうとしたとき、別の本丸の刀剣が店内に入ってきた。無論その刀剣の主も一緒に。2人は仲良く並べられている和菓子を見ながらどれにしようかと目を輝かせて選んでいたよ。菓子を選ぶ、という行為だけであんなにも幸せそうにしているところを見ると、こちらとしても微笑ましく感じるね。
店の店員もそう思ったのだろう。微笑ましそうに笑いながら、和菓子を選んでいる2人を見つめていたよ。
318 ななしの審神者
着物とか着るんだ・・・ていうか主さん刀剣に服選ばせてるの?
319 ななしの審神者
俺いつもジャージだわ。あれが1番楽。CCPとかには不評だけど、お前らだって内番着ジャージじゃねぇか!!
320 ななしの審神者
ママンとかはオシャレジャージだから。ていうか319の場合ジャージで出歩いてるんだろ。
321 ななしの審神者
Σ (゚Д゚;)ギクッ
322 ななしの審神者
出歩くときはさすがに気を遣おうぜ?まぁ、俺の普段着は首を横に振られたけどな!!
323 ななしの審神者
322も泣いていいんだよ・・・?
324 ななしの雅な刀剣
>318
主が選ばせているのではなく、僕達が選ばせて貰っているんだ。主にセンスがないわけじゃないよ。
325 ななしの審神者
てかこれオカ板だろ?今の所全然オカルト要素ないんだけど。ただの微笑ましい買い物風景じゃね?
326 ななしの審神者
まぁ待て。オカ板ではここから急転直下な展開になることが多い。
327 ななしの審神者
そうそう。あとよくよく読んでみたらヤバい奴とかな。
328 ななしの雅な刀剣
今回はそこまでおどろおどろしい内容ではないけれど、まぁ、もしかしたらこの時期は他でも見かけるかもしれないからね、気を付けるといいよ。
2人は菓子を選び、購入すると仲良く連れたって店を出て行った。丁度、僕達も店を出るときだったからね。並ぶようにして出たのだけれど、その時気が付いた。
刀剣と共にいる審神者の着物の合わせ目が、通常と逆だった。
329 ななしの審神者
ん?
330 ななしの審神者
逆?
331 ななしの雅な刀剣
着なれない人間ならば合わせ目を間違えることもあるだろうが、まず出かけるときに刀剣が気づくだろう。そもそも共に刀を連れ歩いているのだから、注意されないことの方が稀だ。
そこに気が付くと、更におかしい点に目が行く。その審神者には、影がなかった。
332 ななしの審神者
ひえっ
333 ななしの審神者
え、つまりその審神者って・・・
334 ななしの雅な刀剣
そのことに気が付いて、僕は刀に声をかけるか迷った。変なものに憑りつかれているのならば注意をしておくべきではないのか、と。
無論あまり関わり合いになることは好ましくはないが、見て見ぬふりというのも気が引ける。霊刀や御神刀のような力があるわけではないが、その審神者らしきものが悪いものに思えなかったのも声をかけようかと思わせた一因だった。
もし悪いものならば相手には悪いが、主に害があっても困るからね。見ないフリをすることもあっただろうけれど、そうとも思えない・・・なにせ、本当に2人は幸せそうだったから。
335 ななしの審神者
うーんこのさらっと主以外どうでもいい感が刀剣男士って感じだな。
336 ななしの審神者
あるあるだよね。まぁ本当にヤバいものだとしたら下手に関わると目をつけられてこっちが被害に遭うこともあるし、歌仙の判断も間違いじゃないけど。
337 ななしの審神者
でもわかってて見捨てるのも後味悪いんだよな・・何ができるわけでもないけどさ。
338 ななしの雅な刀剣
僕が迷って主を見たとき、主もまた気が付いていたんだろう。いや、もしかしたら彼らが店に入ってきた時点で、気づいていたのかもしれない。主はそういったことには敏感な性質でね。主は首を横に振って、「知らないふりをしてあげるのが礼儀だよ」とそう言った。
その時はわからなかったけれど、主がそういうのなら、と僕は刀剣にそのことを伝えるのは止めた。2人は幸せそうに笑いあいながら帰って行ったよ。その姿は本当にお互いがお互いに大切だと言葉にせずとも伝わるぐらいに仲睦まじかった。
帰ってから、購入した菓子と暦をみて何故主がそういったのか理解できた。
339 ななしの審神者
主さん何か知ってたの?
340 ななしの審神者
暦・・・あっ。
341 ななしの雅な刀剣。
主は茶会用の菓子の他に、別の菓子も買っていた。
話は変わるが、主は御父君を亡くされていてね。政府の不手際で葬儀を終えてすぐにこの任に就く羽目になり、手元には故人を偲べるものは何もないんだ。それでも気持ちの収まりがつかないのだろうね。お供え用に落雁を買っていたんだ。
仏前、はないけれど、主は御父君用の落雁を供えて、手を合わせていたよ。無論僕もね。あとで他の刀剣達も手を合わせに来たから、とても賑やかになったことだろう。
そして今の時期を考えると、何故主がああいったかも理解できた。確かに、あれを指摘してしまうのは無粋以外の何ものでもなかったね。声をかけなくてよかったよ。
342 ななしの審神者
主さん、お父さん亡くしてるんだ・・・。
343 ななしの審神者
あーわかった。そっか、そういう時期だもんな。その刀剣の主、こっちに還ってきてたのか・・・。
344 ななしの審神者
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) え、343わかるの?
345 ななしの審神者
>344
むしろ何故お前は察しない。
346 ななしの審神者
お盆だから、だろ?そういえば、盆踊りとか偶に故人が混ざってるって話があるよな。
347 ななしの審神者
なるほどなー。そうなると、確かに指摘するのは無粋だな。
348 ななしの審神者
還ってきた主と仲良く買い物か・・・そりゃ邪魔できねぇわ。
349 ななしの審神者
んん?でもそれっていいの?前の主さんがもういないってことは、その刀剣引き継ぎか何かされてるんでしょ?幽霊とはいえ2人で出歩くとかさ、今の主さんが微妙な気持ちにならない?
350 ななしの審神者
期間限定なんだから大目に見てやれよ。ちゃんと吹っ切ってるから、あえて見逃してるのかもよ。
351 ななしの審神者
まぁそこら辺は管轄外だわな。引き継ぎは知らないことかもしれないし。
352 ななしの雅な刀剣
他の本丸の事情までは首を突っ込めないからね。穏便に済むことを祈っているよ。とりあえず僕はそういうものを見た、というだけだし。
そしてこれから外に出る予定がある人達は、もしかしたらそういったものを見かけることもあるかもしれない。その場合は、知らないフリをしてあげて欲しい。
この時期に還ってくることは、何も珍しいことでもないのだから。
353 ななしの審神者
了解。そうだな、そういう場合は見て見ぬふりするのが1番っていうもんな。
354 ななしの審神者
悪いもんじゃないなら、別に指摘してやることもねぇしなぁ。
355 ななしの審神者
お盆かー実家に帰省したいけど、この時期集中してるから許可下りなかったんだよなぁ。
356 ななしの審神者
この時期はどうしてもね。ズラすしかないよ。
357 ななしの雅な刀剣
僕の話はこれで終いだ。
くれぐれも、この時期には気を付けてくれ。ではね。
358 ななしの審神者
乙ー。
359 ななしの審神者
乙乙。
360 ななしの審神者
なんか今の歌仙の言い回し、可笑しくなかったか?
361 ななしの審神者
そうか?時期が時期だから気をつけろってだけだろ。
362 ななしの審神者
いやそこじゃなくて、
363 ななしの審神者
はいはーい!次はおれが話してもいいー?
364 ななしの審神者
お、次か。
365 ななしの審神者
よろしくー。
366 ななしの穴に落ちた柄ラー
じゃー話すね。
これはうちのビックリ爺が落とし穴掘ってた時なんだけど・・・
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「ねぇ主」
次に始まった語りから視線を外し、本丸に戻ったというのに着替えずにそのままでいる主に視線を向ける。畳に広げられた幾筋もの刺繍糸を見下ろしていた彼女は、まだ幼さの残る顔をあげると、こてり、と首を傾げた。
「どうしたの、歌仙さん」
「彼は、送れると思うかい?」
「・・・さぁ?それは、彼ら次第としか言いようがないですね」
明確な主語はない。だかそれでもすぐに意図は掴めたのか、主はなんともいえない苦笑めいた笑みを浮かべて、畳に並べた刺繍糸のいくつかを手に取り残りを裁縫箱に仕舞い始めた。色が決まったのか。今度は何を刺繍するつもりなのだろう。パソコンの電源を落として、するりと主の横に侍る。
「その刺繍は誰にあげるんだい?」
「この前毛利が誉れを取りましたからねー。あの子のことだから違うもの要求するかと思ったけど」
ああ、わかる。なんというか、後から実装された粟田口はやけに個性が・・・特殊な方に振られてはいないだろうか。一期一振の頭を抱える姿も容易に浮かび、苦労性だなぁ、と密やかに合掌を送った。まぁ、中々趣味嗜好が斜めな方向に向きがちな刀剣も多いが、僕達が主手ずからの物を欲しがらないわけがないのだから、主はもう少しその価値を自覚して欲しいところだ。僕なんていくらでも!いくらでも欲しいぐらいなんだけどね!!
なんなく針に糸を通す姿を眺めて、眼力に想いを込めてみるが、どこに針を刺そうかと思案する主には届くまい。気付かれない程度に溜息を零し、そっと庭に目を向けた。
「焚かれない送り火は、どうなるのだろうね」
その気持ちは、わからなくもないのだけれど。