違和感



 見逃してしまいそうな、それは。





 本を返す為に出た廊下で、ばったりと出くわしたのはやたらと沈鬱な空気を纏ったネスティだった。もともとネスティは明るい方ではなかったが、こんなにも鬱々としているのは珍しい。眉間の皺もいつもより深く、痛みを堪えるように憂鬱そうなネスティのどこか焦っている様子に怪訝に眉を顰める。

「ネスティ?」
か」

 首を傾げて名前を呼べば、顔を向けてそう返す。持っている本にピクリと眉を動かしたネスティに、少し笑みを浮かべて更に問いかけた。

「どうしたの、なんか急いでるみたいだけど」
「あぁ・・・丁度良い。僕はちょっとこれから夕方ぐらいまで出かけるんだが、マグナ達の面倒をみておいてくれないか?」

 面倒てあんた。あまりといえばあまりな言い草に、マグナ達は幼児か、と苦笑いを零した。マグナ達だってもういい年なんだし、そんな心配することもないと・・・・・・・・・・思えないのが悲しいなぁ。初っ端の街中ではぐれて迷子事件を思い出して、思わず口端を歪める。私よりもマグナ達の付き合いが長いネスティのことだ。きっと余計に心配なんだろう。

「わかった。といっても、そんな全面的に面倒なんてみてられないわよ?」
「十分だ。保護者がついているだけで心配も減るよ」
「・・・・なんか、マグナ達は一体何歳だというような会話ね、これ」
「しょうがないだろう。あいつ等がもっとしっかりしてさえくれれば僕だってこんなこと君に頼まなくていいんだ」

 深深と溜息を吐き出して、眉間の皺を解すように指を添えたネスティに、苦笑も浮かばない乾いた笑みを張りつけ、軽く肩を竦めた。もともと、苦労性な人間だとは思っていたが、どうしてこうもネスティは影が似合うのだろうか。というか随分と信頼されたものだと、一人感心する。初めての印象でお互い疑いにかかっていた割りに、きっと彼にとって大切であろう兄妹を任せるとは、・・・彼も彼で大概お人好しなのかな?まあ別に、誰をどうこうする気なんてないからいいんだけれど。
 軽く首を傾げて目を細め、全くマグナ達ときたら、とぼやくネスティに苦労という二文字を見た。保護者って大変ね、そんな思いと共にぽん、と肩に手を置く。

「ま、今は忘れて行って来い。一応面倒はみておくから。目の届く範囲で。まぁでも、あんまり期待はしないでね?」

 なにせまだ出会って二週間も経ってないんですからね?彼らの面倒を完全に見るにはあまりにも経験値がなさすぎると思うのだよ。
 そんな私の心配を知ってか知らずか、ネスティはどこかほっとした様子で息を吐いた。いやだからあんまり信用しすぎないでね?

「あぁ、よろしく頼む」
「はいはい。じゃ、行ってらっしゃい」

 緩慢に頷いたネスティに、ひらひらと手を振って見送る。どこか、というよりも気が急いているようなのにひどく重たげな足取りで赤いマントを靡かせて玄関に向かうネスティを見送り、ふと思い至ってその背中を追いかけるように声をかけた。

「ネスティ」
「なんだ?」
「捌け口くらい作っとかないと、余計苦しくなるだけだからね」

 瞬間、気だるそうに振り返ったネスティの目がこれ以上ないぐらいに大きく見開かれ、まじまじと凝視された。微かに戦慄く唇と、青褪めた顔に美形が勿体ない、なんて場違いなことを思いながらひらりと手を振る。
 ネスティの反応は面白いぐらいに判りやすい。生真面目でポーカーフェイスを装っているようだが、存外に態度に出やすいのだ。けれども、今のこの反応はちょっとまずいところを突っついたかもしれないな。目に見えるほど青ざめたネスティに、それ以上の言葉を重ねるのは憚られて私はたた無言で微笑むに留めた。
 そんな私にネスティは酷く強張った顔で、反論を返すでもなくさっと顔を背けて足早に去って行った。あっという間に遠ざかるネスティの背中を見送って、ふぅ、と肩を落とした。ネスティって、明らかになんか抱えてるっぽいのよねぇ。しかもそれを全部一人で抱え込んで自爆する系の性質悪いタイプ。相談相手もろくろくいないのだろう。真面目で自立心があってプライドが高くて、って・・・将来的にぶっ倒れる未来しか見えないんだけど?ストレスを溜めて潰れるなんて最悪なケースになりかねない人種だな、あいつ。
 ぱたんとドアの閉まる音が聞こえて、誰もいなくなった玄関に目を細める。本来なら人の愚痴を聞くほど親切でもないけど、ネスティはあまりにも重たすぎる。
 まるで目に見えるような、ドス黒いとぐろを巻いた不気味な何かが、ネスティを覆っているようなイメージを感じた。

「捌け口作らないと、あれは潰れるな」

 身近にいる人が潰れる姿なんて気分が良いものではない。ぼそりと一つそう零し、冷ややかな目で玄関を一瞥してから外套を翻した。さて、ネスティがあんな不安定になる原因とはなんなのかしらねぇ。





「あ、、メノウ!丁度良い所にっ」

 二階でミモザさんと召喚術についての話を一段落させたところで、下に降りた瞬間目敏く私達を見つけたマグナが顔を輝かせて声をかけてきた。二人で顔を見合わせ、丁度良い所に、なんて・・・私的にあんまり良いイメージのない台詞に胡散臭く思いながら階段を降りきる。てくてくと瑪瑙がマグナと・・あ、トリスもいる。に近づいてこてん、と首を傾げた。

「なぁに、マグナ君」
「あ、えっと、ギブソン先輩を呼んできて欲しいんだ」

 背丈の違いで必然的に上目遣いになって、柔らかく問いかける瑪瑙にマグナの頬が赤味を増す。その光景を後ろで眺めつつ、ギブソンさんなら確かリビングの方にいたっけな、と思考を巡らして視線を横にずらした。マグナの後ろで、トリスが玄関先で誰かを応対しているのが見え、瞬きを一つ繰り返す。茶色い長い髪に、オレンジ色の服と大きなバスケットがよく目立つ。にこにこと笑っているその顔は、人当たりのよさそうなセールスの美女?ともかくも、あの人絡みでギブソンさんが必要なのだと判って軽く頷いておいた。

「判った。ギブソンさんでいいのね?」
「うん。お願いするよ、

 マグナがこくりと頷いたのを確認してからさっと踵を返す。慌てたようにパタパタと後ろから瑪瑙の足音が聞こえて横に寄り添われ、並んでリビングのドアを開けた。さーっと視線を走らせ、ソファに腰かけて紅茶を飲んでいる後ろ姿を見つけ、軽くその背中に声をかける。

「ギブソンさん。お客さんがきてるみたいですよ」
「ん?お客さんかい?」
「はい。なんだか大きなバスケットを持っていましたけど」

 振り向いて首を傾げたギブソンさんに、瑪瑙が続けてそう補足すると、ギブソンさんの顔に今まで見たことも無いような喜色が走った。・・・え、なにその反応。いそいそと立ちあがったギブソンさんが、やけに嬉しそうで正直不気味である。なにかそんな嬉しくなるような情報があったのだろうか・・・。ていうかにやけた顔で来られると物凄く怖いんですけどギブソンさん。

「そうか、じゃぁ早く行かなくてはね!」
「はあ・・・」

 弾んだ調子で嬉々としてリビングを出たギブソンさんに生返事を返し、瑪瑙と二人で顔を見合わせて首を傾げた。今の情報の何処にそんな嬉しそうなものが入っていたのか・・・謎だ。なんとなく、ギブソンさんのその上機嫌の理由が気になって、別に示し合わせたわけでもないが二人同時にギブソンさんの後を追いかけた。軽い足音をたてて追いかけると、階段の上からミモザさんも降りてきたのに遭遇する。

「あら?どうしたの二人共」
「あ、ミモザさん。ギブソンさんにお客様がきたんですけど、なんだかとてもギブソンさんが嬉しそうなので気になって見に行く所なんです」
「お客が?・・・・・ねぇ、そのお客さんって、オレンジのウェイトレス服に大きなバスケット持ってなかった?」
「あぁ、そんな感じでしたね。ミモザさんも知ってるんですか」
「まあね。よく家にくる人だから」

 明確にその人物像を言ってのけたミモザさんに意外に思いつつ問いかけると、いともあっさりと肯定の返事が返されて、知り合いなんだ、と内心で零した。しかし、どことなくミモザさんの顔がうんざりしているのは何故なのだろう。片や嬉々とした表情で、片や辟易とした表情。対照的だなぁ。そんなこと思っていると、自然と三人で玄関に向かうことになった。玄関につけば、ギブソンさんがウェイトレス姿の美人の応対をしている所だった。

「ご注文のケーキ、これでよろしいですよね?」
「ああ、ご苦労さま。いつもありがとう、パッフェル」

 にこにこと満面の笑みでパッフェル、と呼んだウェイトレスと相対しているギブソンさんがそう労いの言葉をかける。あぁ、あの中身ケーキなんだ・・・・・・・・・・あのでかいバスケット全部に?

「あの、ギブソンさん。もしかしてそのバスケットの中身、全てケーキなんですか・・・?」

 恐る恐る背後から訪ねた瑪瑙に、ギブソンさんは輝かしいまでの笑顔で頷いた。まだほんの少ししかこの人と過ごしてはいないが、それでもイメージを覆すには十分なほどの麗しい笑顔である。ちょっとこの顔ネスティに見せてやりたい。あまりにも嬉しそうなギブソンさんは、嬉々としてこくりと頷いた。

「そうだよ」
「えぇ?!このバスケットの中身皆、ケーキ!?」

 トリスが驚いたように目を瞬かせて叫ぶと、ミモザさんが肩を竦めて溜息を吐いた。眼鏡の奥の瞳がこれ以上ないぐらいの呆れを漂わせて、ギブソンさんをねめつける。

「呆れたでしょ?まったく、いい歳して甘いもの大好きなんだから・・・」
「いいじゃないか。それに甘いものには頭の働きを高める効果があるんだぞ」
「虫歯ができたってしらないからね」
「君こそ、辛いものの食べ過ぎで、胃を悪くしても知らないぞ」

 どっちもどっちだ。ていうかなんだ、その味覚は。両極端過ぎる、と半ば呆れると、絶妙なタイミングでウェイトレスさんがにこやかに二人の間に分け入った。

「はいはい、痴話ゲンカもよろしいんですがー。残りの品物はどこへ置きましょうか?」

 うわぁ、皆思いつつも言わなかったことをさらりと口にしたよ、この人。確か・・・パッフェルさん、だったかは大きなバスケットを掲げると、痴話ゲンカと称されて沈黙してしまった二人に悪意のないようであるような、中々侮れない笑顔を浮かべて首を傾げた。
 この人、結構油断ならない人種のようだ。シオン大将のような、食えない笑みに眉を跳ね上げてじぃ、とパッフェルさんを観察する。

「・・・いつもの所へお願いするよ」
「かしこまりました。ではでは・・・」

 苦虫を噛み潰したような顔で溜息を落としつつ言ったギブソンさんに、パッフェルさんは気にした風もなく飄々と家に上がる。まあ、痴話ゲンカとか他人から言われたら微妙な心境にもなるよね。なんとなく可哀想な気持ちで家主二人を眺め、さっと家に上がったパッフェルさんの為に横によって道をあけた。そのまま観察を続けようと足元に視線を走らせた瞬間、ぴたりと目の前でパッフェルさんの足が止まる。怪訝に思ってパッフェルさんの足元から滑らせるように顔をあげると、軽く目を瞬いてその顔を見つめた。にこにこと笑みを絶え間無く浮かべていたパッフェルさんの表情が、その瞬間動揺したように揺れる。
 まさか、と言いたそうに見開く眼差しは、間違い無く私に向けられていて。そんな注目するようなところあったかな、となんとなく自分の体に視線を走らせた。

「パッフェル?どうしたんだい?」
「あっ・・・・・いえいえ~なんでもないですよ」

 立ち止まって見詰め合いをしている私達に、訝しげにギブソンさんが声をかける。それに、はっと気づいたように・・・夢心地から醒めたような表情で、ギブソンさんに振りかえったパッフェルさんは笑顔を浮かべた。バルレルに引き続き気になる反応してくれるな。
 さっきまでのことなど微塵も感じさせないように、飄々とした態度に戻ったパッフェルさんが、そのまますっと音もたてずに私の横をすり抜けていく。なんとなくその背中を見送り、足元に視線を向けて眉を顰めた。

「綺麗なもんね」
「え?何が?」

 耳敏く聞きつけたマグナが問い返すのに、「なんでもない」と返してリビングに入っていった背中を見つめた。多分一般的なウェイトレスじゃないんだろうな、あの人。す、と目を細める。―――足音が、一切なかった。普通に歩けばまず立つだろう足音がないのは不自然な話で、並々ならぬ相手なのだろうとそう予測させる。シオン大将もなんか足音とかたてずに行動できそうだし・・・この世界、食えない笑みを浮かべる人はそういった類の人なのか?

「あの人、ケーキ屋さんだったんだ」
「ああ、パッフェルさんといって、いつもこの屋敷にケーキを届けてくれるんだ」
「へぇ」
「さて、ケーキも来たことだしどうだい?トリス達も食べないか?」
「え、いいんですか?」
「勿論。ケイナさんも呼ぶといい。シルターン出身者ならケーキは珍しいだろうからね」

 そういやシルターンって日本と文化が似てるんだっけ。ギブソンさんとトリス達の会話を尻目にそんな思考を巡らしていると、トリスが瑪瑙の腕を掴んで引っ張っていくのが視界の端に映り、さっと意識を切りかえる。

「ね、とメノウも食べない?」
「いいの?ギブソンさん達の食べる分、少なくなっちゃうけど・・・」
「構わないさ。ケーキは大勢で食べたほうが美味しいからね」

 いやそれいうなら料理は、とかだと思うんですけど。咄嗟に内心でツッコミをし、あはは、と笑顔を浮かべる。そういえば黒騎士撃退の時に漁った冷蔵庫の一角にあった大量のケーキは、ギブソンさんのものだったのだろうか、もしかして。あのちょっとした小山のようなケーキに、この無類の甘味好きを照らし合わせて口元を引き攣らせた。似合ってない・・・似合ってないよ、ギブソンさん・・・・!!

「人は見かけによらないってことね・・・私は遠慮しときます。ちょっと上でやりたいことがあるんで」
「そうなのかい?残念だな・・」
「すみません。・・・瑪瑙は食べておいで。折角なんだし」
「あ、うん・・・ちゃんの分のケーキも、残しておくからね?」
「ありがと」

 戸惑いつつ頷いた瑪瑙にひらりと手を振って、リビングに姿を消していく面々と入れ違いで出てきたパッフェルさんに顔を向ける。相変わらず、にこにこと笑みを浮かべたままのパッフェルさんが、私の前で立ち止まった。また、自然と見詰め合う形になる。口火を切ったのは、パッフェルさんの方だった。

「貴方もこのお屋敷でお世話になってる方なんですか?」
「えぇ、まあ。パッフェルさん、でしたよね。ケーキ屋って楽しいですか?」
「アルバイトですけど、楽しいですよー。掛け持ちしてますから大変なんですけどね。あ、貴方のお名前はなんていうんです?」

 当り障りの無い話題を選びつつ会話を進めていく。空になったバスケットを腕に下げて、首を傾げたパッフェルさんに軽く微笑んだ。

といいます。以後、お見知り置きを」
>さんですか。いいお名前ですね」
「ありがとうございます。パッフェル、という名前も素敵なお名前だと思いますよ」

 にこにこと笑みを浮かべて、本気でもうさっきまでの動揺なんて欠片も感じさせない様子に、一瞬さっきのことは気のせいだったのか、とさえ思った。
 名前を褒められたので、こっちも満面の笑みで褒め返しておく。そうしたら、パッフェルさんは目を微かに見開いて、次いで頬を染めてはにかむように・・・嬉しそうに、微笑んだ。今までの笑みよりも、数段綺麗で、柔らかな笑みで。
 そんなに名前を褒められたのが嬉しかったのかな、と不思議に思いつつなんだか相手が本気で嬉しそうなのでこっちもにこにこ笑みを浮かべ続けた。

「ふふ。ありがとうございます。名前を褒められるのって、なんだかくすぐったいですね~」
「あんまりないですからね。そういうの」
「そうですよねー。あ、私そろそろ時間なんで、この辺で失礼しますね!」

 ほのぼのと会話を交し合った所で、パッフェルさんはぱっと話しを打ちきると急いだように玄関に向かった。見送りの為に一応玄関までついていき、ドアをあけて、最後の挨拶を交わす。

「じゃあ、さようなら。パッフェルさん」
「はい。さんも是非是非当店のケーキを食べにきてくださいねー!待ってますから!!」
「あはは。そうですねー暇があったら行ってみます」
「絶対ですよ!絶対ですからねーーーー!!!!」

 ちゃっかり宣伝してるパッフェルさんに適当に返事を返すと、パッフェルさんは走りながらそう最後に言い捨てて、あっという間に住宅街へと消えていった。足、早いなぁ。
 ひらひらと手を振りつつ見送りながら、ぼんやりとそんなことを考える。無邪気といえば無邪気な彼女の、あの反応はなんだったのかと思いながら、そっとドアを閉めた。

「・・・・・・・・気にしてても始まらないか」

 ポツリとそう零し、マントを翻して二階へと向かう。階段に足をかけたところで、どたばたと足音がしてリビングから転るように赤い物体が出てきた。何事か、と足を止めて転がり出てきた物体をみる。

「あ、バルレルー!!ケーキ食べないのっ?」
「んな甘ったるいモン食べてられるか!!」
「えぇーーー美味しいのにー」
「ケッ」

 リビングに向かってトリスと言い合いをしている赤い物体・・・もとい、バルレルは不満そうなトリスに悪態を吐いて、パッと顔をあげると私を見上げた。その瞬間、黒い尻尾がピンと立ち、目を見開いて嬉しそうに瞳を輝かせる。口元に本人は無意識なのだろうか知らないが、仄かに浮かぶ笑みは蕩けるように柔らかかった。そんなにケーキが嫌いなのだろうかと思いつつくてりと小首を傾げる。

「一緒にくる?」
「・・・・・・・・・ケッ。暇だからな。行ってやるよ」

 なんだその恩着せがましい言い方は。別に行きたくないけど、しょうがないから行ってやる、みたいな態度で渋々・・・の割りにしっぽが嬉しそうに揺れている(犬かよ)バルレルに気づかれないように苦笑を零し、階段に足をかけたのを見て私も上に登るのを再開する。
 その後、トリス達がアメルを連れて出かけると言い出すまで、私とバルレルは静かに読書をしていた。ていうかバルレルは寝ていただけだけど。寝顔だけは邪気のない子供で、そうしてれば可愛い子供で終わるのになぁ、と思ったのは内緒である。